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文章のクセ、コミュニケーションのクセ

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文章教室を開講して2ヶ月。

今のところ、週に3回のペースでお申し込みをいただいている。

思ったよりもいろいろな層の方に受講していただいていて、ハローワークで職を探している人から、大きな企業の社長さんまでいろいろだ。

やっていて思うこと。それは、

“文章の悩みというのはそれ単体では存在せず、その人の人生の悩みと直結している”

ということだ。

文章は、いうまでもなく、書き手自身の人格と直結している。

その人の見ている世界、その人の暮らし、今の生活状況、コミュニケーションの仕方。

人格だけではない。対面で坐した時の、その人の喋り方、姿勢、声のトーン、話すときの文法の癖。それらはすべてリンクしている。

たとえば、読み手にとって共有されるべき情報をはじめから共有せずに、いきなり前提をすっぽかして書き始めてしまうような人がいる。そういう人は、会話においても、他者の視点が抜けていることが多い。

また、主題がはっきりせずに、だらだらと際限なく長い文章を書いてしまう人。そういう人は会話においても、いつまでたっても述語が表れずに区切りなく話し続けてしまうクセを持っている。

このように、その人が持っている文章の癖や、うまく書けなくて悩んでいる部分というのは、そのまま、その人の生き方のクセや、もしくは他人とのコミュニケーションにおける、つまづきの表れであることがとても多い。

本当は、自分に自信が持てない、だったり。

部下に相談したいのに、できない、だったり。

やりたいことがなくて焦っている、だったり。

その人の抱える悩みが、紙に印刷された、文字列の上にそのまま透けて見えることがある。

(もちろん、私にもある。私の場合、自分が言っていることが相手に伝わっているか、どうしても自信が持てないので、ついつい蛇足的にダラダラ言葉を重ねてしまう。その結果、余計なことを言ってしまう事が多い。原稿を書く時には、その事についてかなり注意するようにしている。)

 

とあるクライアントで、初対面の第一声からタメ口で話しかけてくる40代の男性がいた。失業中で、ハローワークに出すエントリーシートの書き方を教えて欲しいと言う依頼だった。

最初は「(自分よりも)若い女だと思って、舐めてるのかなあ」と思いながら講義を行っていたが、提出された文章を読み、話をするうち、彼の「他人全般に対する舐め」が、彼の人生におけるつまずきを作り出しているんだなぁということがよくわかった。

彼の文章は、いうまでもなく、他人に甘えていた。内容が甘えているということではなく、書き方自体が甘えている。べちゃべちゃとしていて、他人と距離が取れていない文章。“相手はもちろん、自分を理解してくれている”という前提で書かれているから、当然、読み手は困惑する。まるでドアもない家を、買うとも言っていないのに押し売りされているみたいな気分になるのだ。そのことを、気づいてもらう必要があった。

このように、 話し方の癖、文章の癖と、その人のコミュニケーションの癖というのは直結していて、それらを総合的に見てゆくと、この人が一体何につまずいているのか、というのがおのずと見えて来る。

 

私はカウンセラーではないから、その人のつまずき全部を取り除くことはできない。また、一回の講義で、コミュニケーションの癖を直せと言ってもどだい無理な話だし、むしろ癖なんかあって当然で、それがその人の個性でもあるから、全部を直す必要もない。また、たとえ文章が下手でも、不思議と相手に伝わる文章というのもあるから、「てにをは」などの文法をびっちり矯正すればいいというわけでもない(エントリーシートなどの場合は別だけど)。

ただ、「他人に伝わる文章を書きたい」と願う時、自分のコミュニケーション上のクセを知っておく、というのは、かなり有効だ。

だから、私が講座の中で行っているのは、提出された文章と、目の前にいる人のすべてから、その人の、文章を書く上でのつまずきに直結している部分を分析して、 それをその人自身に気づいてもらえるよう、促すことである。

 

時々、必要だと感じたら、クライアントに発声練習をしてもらうことがある。

発声して、自分の声を聞く事で、これまでどれだけ自分の声が閉じていて、相手に届かないものであったか、また、自分の話し方の癖について、気づく事があるからだ。

たぶん、やらされている本人は最初は恥ずかしいと思うが、講師としてはこれがいちばん楽しい。

 

声を出してもらううち、ふいに、その人の頭の後ろから、爽やかな風が吹き抜ける瞬間がある。

声がお腹の底から通ってくる感じ。自分の声を聞きつつ、相手に届けるために、迷いなく声を出せている瞬間。

そんな時のクライアントの顔は、さえざえとして、緊張や不安のない、落ち着いた表情をしている。

その時の感じを思い出しながら文章が書けたら、”じぶんらしい表現”になるのではないかと思う。

 

 ===

お知らせ 9月3日(木) 19:30「旅の本屋のまど」さんにて新刊のトークイベントを行います。くわしくはこちらをご覧下さい。

 

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9月3日(木) 19:30「旅の本屋のまど」さんにて新刊のトークイベントを行います。

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淡路さん写真4

(写真提供:淡路愛)

9月3日(木)   19:30 ~に、「旅の本屋のまど」さんにて、新刊のトークイベントを行います。

スペイン巡礼の魅力について、スライドショーをつかいじっくり解説するほか、他の巡礼者の方をお呼びし、貴重なフランスパート(ル・ピュイからサンジャンまで)についてもたっぷりお話しします!

ぜひ皆様、お越し下さい。

 新刊「人生に疲れたらスペイン巡礼」発売記念

◆小野美由紀さん  スライド&トークショー◆

「スペイン巡礼旅の楽しみ方」

———————————————————————-

新刊「人生に疲れたらスペイン巡礼」(光文社新書)の発売を記念して、ライターの

小野美由紀さんをゲストにお迎えして、スペイン巡礼旅の魅力についてスライドを

交えながらたっぷりとお話していただきます。カトリック三大巡礼路のひとつ、カミーノ

・デ・サンティアゴ。スペインはもちろん、イタリア、フランス、東欧諸国まで、世界中の

さまざまな国の人々がこの道を歩くことを目指して旅していて、最近は巡礼路を歩いて

旅する日本人も急増しているのだとか。本書は、就職活動に挫折し、スペイン巡礼を

体験し、その後3度に渡り全800キロの道を歩いた著者が、アウトドアとしても、旅として

も面白く、信仰を問わず誰にでも開かれている「スペイン版お遍路」の醍醐味を伝えた

旅エッセイになっています。実際にスペイン巡礼路を歩いて来た小野さんが肌で感じた

「歩き旅」の貴重な体験談が聞けると思います。小野さんのファンの方はもちろん、

スペイン巡礼路に興味のある方や歩き旅に興味のある方はぜひご参加ください!

※トーク終了後、ご希望の方には著作へのサインも行います。

————————————————————————

●小野美由紀(おのみゆき)

1985年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部仏文学専攻卒業。学生時代、世界一周に

旅立ち22か国を巡る。就職活動に挫折し、スペイン巡礼へ。その後3度に渡り全800キロ

の道を歩く。卒業後、無職の期間を経て2013年春から文筆業を開始。クラウドファンディ

ングで「原発絵本プロジェクト」を立ち上げ、絵本『ひかりのりゅう』(共著、絵本塾出版)を

出版。2015年には、初の著書である自伝エッセイ『傷口から人生。』(幻冬舎)を刊行し、

話題を呼ぶ。現在、ライター、エッセイストとして活躍中。

◆小野美由紀さんブログ

http://onomiyuki.com/

———————————————————————–

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(写真提供:淡路愛)

【開催日時】  9月3日(木)   19:30 ~ (開場19:00)

【参加費】   900円   ※当日、会場入口にてお支払い下さい

【会場】   旅の本屋のまど店内

【申込み方法】 お電話、ファックス、e-mail、または直接ご来店のうえ、

 お申し込みください。TEL&FAX:03-5310-2627

 e-mail :info@nomad-books.co.jp

 (お名前、ご連絡先電話番号、参加人数を明記してください)

  ※定員になり次第締め切らせていただきます。

【お問い合わせ先】

 旅の本屋のまど TEL:03-5310-2627 (定休日:水曜日)

 東京都杉並区西荻北3-12-10 司ビル1F

 http://www.nomad-books.co.jp

  主催:旅の本屋のまど

 協力:光文社

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病んでないと書けない?

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先日、取材に行ったゲイバーで、同席した人から、

「病んでなきゃ、文章なんて書けないでしょ?」と言われた。

本当にそうだろうか?

個人的な経験から言うと、これはもう、病んでいない時の方が確実に文章は書ける。
モノを書くという行為は半分以上が技術だ。配管工事とか、プログラミングと同じだ。
病んでる配管工が上手にペンチを使えるとも思えないし、プログラマが病んでたら頭がぼうっとして正確にプログラムを書けないだろう。

だから、モノを書いているときはできるだけ心が安定しているほうがいい。気分が良く、朗らかなときのほうが、あきらかに筆が進む。

毎朝、7時くらいには起きて、7時半には本郷三丁目のスターバックスの窓際の席にいる。
この時間が一番好きだ。
店内には人もまばらで、窓から見える景色はまだ薄暗く車もあまり通らず情報量が少ない。
外部刺激のない状態で、黙々と書ける。窓の外の景色を吸収して心はりんと冴え、道路の上の白線とおなじくらい混じりけのない状態に、自分の内部がだんだんと変化してゆく。

病んでいる人に、書くと言う行為は必要かもしれないが、
書くためには病んでいる必要があるわけではない。
また、病んでいるからといって書けるわけでもない。

書くためには、自分の「病み」を俯瞰する能力が必要だ。
どうやって他者と共有できるか。人が面白いと思う形にするか。
病みを俯瞰できる能力があるということは、半分くらい「病まない」ことを意味しているから、
病みを俯瞰し続けるうちに、少しずつ病まなくなってゆく。
書くことに病気を癒す作用があるとしたらそのためだと思う。

病んでいないと、文章なんて書けない、は嘘だ。

ただ、病みを俯瞰するためには、孤独が必要だと思う。
わいわいがやがやとにぎやかな状態で、病みを静かに俯瞰することは難しい。

だから、書くためには孤独でかつ正常な状態に自分をいかに持って行くかが重要だ。

孤独と、病みと、正常な状態。

その3つをグルグル回ることが、文章を書くという行為なのだと思う。

あくまで、個人の意見だけど。

 

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駅のホームも、静かに心を見つめて文章を書くのに適している。

 

 

===

お知らせ

9月3日(木) 19:30「旅の本屋のまど」さんにて新刊のトークイベントを行います。くわしくはこちらをご覧下さい。

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新刊「人生に疲れたらスペイン巡礼 食べ・飲み・歩く800キロの旅」(光文社新書)

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新刊の内容

7月17日、2作目(絵本を入れると3作目)の著書である「人生に疲れたらスペイン巡礼 飲み、食べ、歩く800キロの旅 (光文社新書)
」が出ます。

早いところだと、もう書店さんに並んでいるようです。

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3回に渡り歩いた、「スペイン巡礼路(カミーノ・デ・サンティアゴ)」の魅力がたっぷりつまった本です!

image

カラー写真を多数掲載し、巻末にガイド資料(全行程の高低差マップ・おすすめアルベルゲリスト・持ち物リスト)を添付。
わたし以外の体験者のコラム(一人旅、カップル旅、強行弾丸5日で完歩!旅)など、いろいろな方の体験もぎゅぎゅっと詰まった素敵な本になりました。
帯コメントは、恐縮ながらもジャーナリストの佐々木俊尚さんにいただきました。

傷口から人生を読んでくださった方・また、ブログの読者の方へ

 

今回の本は、主題がスペイン巡礼ということもあり、傷口から人生にも書いたエピソードと重複するエピソードもいくつか出てきます。(といっても総量で言うと234ページ中20ページくらいですが)

 

同じ内容を二度書くことにかなり迷いはあったのですが、新書と文庫のエッセイでは、読者層が大幅に違うため、新しい読者にも知ってほしいと思い、熟慮の末に入れました。とはいっても、表現は変えておりますし、ほんの一部なのですが、前作を読まれた方で、小野美由紀の本をもう一冊読んでみよう!と思われている方、もし、重複がどうしても気になるようであれば、今回の本はスキップしてもらってもよいかもしれません。

 

今回の本は、私の文章の感じを気に入ってくださっている方、ブログや前作を気に入ってくださっている方向けというよりも、純粋に

 

・スペイン巡礼に興味がある
・旅行本が好き!

 

という方にオススメです。

 

特にスペイン巡礼路のガイド本としては、絶対の自信があります!
これまでたくさんスペイン巡礼に関する本が発売されていますが、最新の情報という意味ではこの本がベスト!と言い切れます。

 

なにより、
元時事通信のジャーナリストの淡路愛さん、ポーランド人フォトグラファーのadamikoさんの写真がとても美しいです!!

 

歩く旅のススメ

 

スペイン巡礼の道に興味がなくても、歩く旅の体験本としても本書はおすすめです。
個人旅行が当たり前になった昨今ですが、「歩く」という超個人的な体験をわざわざ選択するのはなぜ?!
歩くことで何が得られるの?!という話が織り混ざっています。
また、歩くことに焦点を絞ってはいますが、スペイン北部の美食ガイド、巡礼路周辺の都市ガイドとしても役に立ちます。

 

スペイン好きな方、生涯に一度はカミーノ!という方、ぜひお手にとってごらんください!

 《内容紹介》
【佐々木俊尚氏 推薦!!】
「これこそが、サバイブの時代の旅だ。
要らないものを捨て去り、最後に残る自分を発見する旅」<内容紹介>
もしあなたが、長い人生の中で、数日間もしくは数十日間を個人的な楽しみのために確保できるなら。
または、人生につまずき、絶望しているのなら。
もしくはお金をなるべくかけずに行ける、刺激的な旅先を探しているのなら――。迷わず本書を手に取ってほしい。
(「はじめに」より)
カトリック三大巡礼路のひとつ、カミーノ・デ・サンティアゴ。イタリア、フランス、もちろんスペイン、東欧諸国まで、
さまざまな国の人々がこの道にやってき、その数は増え続けている。
100キロから証明書をもらえ、全ルートは800キロ。ガリシア地方にある大聖堂を目指す。
やるべきことは、たったひとつ「歩くこと」。
アウトドアとしても、旅としても面白い。信仰を問わず誰にでも開かれているこの道の醍醐味を伝える。<目次>
第1章 スペイン巡礼とはなにか
1-1 カミーノ・サンティアゴ7つの魅力
1-2 スペイン巡礼基礎知識
1-3 巡礼の費用と持ち物

第2章 わたしの巡礼
2-1 緑の山脈を越える、肉体の道
2-2 草原をひたすら歩く、頭の道
2-3 ゴールに向かう、魂の道

第3章 自分らしい巡礼路を楽しむために
3-1 巡礼路は一つではない
3-2 美食のスペインを味わい尽くす

<著者プロフィール>
小野美由紀(おのみゆき)
1985年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部仏文学専攻卒業。学生時代、世界一周に旅立ち22か国を巡る。
就職活動に挫折し、スペイン巡礼へ。その後3度に渡り全800キロの道を歩く。
卒業後、無職の期間を経て2013年春から文筆業を開始。
クラウドファンディングで「原発絵本プロジェクト」を立ち上げ、絵本『ひかりのりゅう』(共著、絵本塾出版)を出版。
2015年には、初の著書である自伝エッセイ『傷口から人生。』(幻冬舎)を刊行し、話題を呼ぶ。
現在、ライター、エッセイストとして活躍中。

 

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冬の薔薇より豚バラ

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エッセイが出た。
タイトルに「就活」と入っているので、就活関係の取材がやたら多い。
その中でも最も聞かれて困るのが、
「今の就活がどれだけ苦しくて、学生を圧迫するのもので、理不尽で制度として破綻しているか」を自らの経験として語らせようとする質問だ。
私の本は、2009年当時、就活がピークとなる4月1日、最終面接の五分前に、リクルートの丸の内サウスタワーのビルへと続くエスカレーターに乗る目前で、パニック障害を起こして転倒してエスカレーターに乗れなくなるところから始まるので、そういう質問が来るのは仕方ないかもしれない。
けれど、私は別に「就活」がなくなってほしいとは思わない。
むしろ、その仕組みの中で内定を勝ち取れるのはすばらしいことだと思う。面接の中で自分の武器を、めいっぱい発揮できる人もいるだろうし、楽しく就活を終えられる人もいるだろう。
そういう人にとっては、この上なくいい仕組みだと思うし、もし今自分が大学3年生に戻って、就活をもう一度するとしたら、たぶん、ふたたび就活の仕組みに乗るだろう。(たぶんね)
でも、やっぱりどうしたって世の中には載れる仕組みと載れない仕組みがあって、もしも自分がその仕組みに載れなかった場合、「載れない」ということを理由に命までおとしてしまう人がいることは、聞いていてやはり、どこかおかしい、やるせない、と思ってしまう。
これは、就活にかぎらず、世の中のすべての仕組みに言えることだと思うけど、その仕組みがどんなに素晴らしい仕組みであろうと、あまりにも「載せる圧力」が強すぎると、それだけで、いろいろなものが潰れていってしまう。その潰れてしまったものの中に、小さくてもきらきらした、あまりにも良いものが、あったとしても。
私の絵の先生は、よく
「人の能力を伸ばすには、『冬のバラ』方式では限界があるんです。」と言っている。
冬のバラは、春に美しいバラを咲かせるために冬にわざと枝葉を削ぐ。厳しい環境においてそれでも新しい芽を出したバラは、より強く、美しい花を咲かせるのだ。
けれど、
「それだけじゃだめなんです。その方式で育てられた人には限界が来ます。人間は命ですから。
人を伸ばすということは、水をやり、枯れた葉は取ってやり、日が強ければ日陰をつくり、支えて、伸びたい方向に枝葉を伸ばせるように支えて、やっとその人の花が咲くんです。人を伸ばすというのはそういうことです。
自分の才能を開花させられる天才というのは、自分に自分でそうしてあげられる人のことなんです」
私はその話を聞いてから、ずいぶんとラクになった。

就活のすべてが悪いとはまったく思わないけれど、就活の仕組みが、あまりにもあなたの枝葉の形にそぐわず、あまりにもがちがちに縛ってしまって、もう二度と、伸びることすらもかなわないほどに命を削ぐような気がしてならないのなら、そこから少しの間でも、逃げていいのではないか、と思う。
もし、その仕組みがあなたにとって本当に必要であれば、たぶん少しの間を置いて、その場に戻ってくるだろうし、
その間に、自分で自分の枝葉を伸ばす方法を、誰かと一緒に、あるいはひとりで、考える時間をもっても、いいのではないか、と思う。
あかるいひざしを浴びて、ひなたぼっこでもしながら、さ。

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蛸とシャンデリア

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私が銀座の高級クラブでバイトをしていた時、Kさんというお客さんがいた。
Kさんは、ものっすごく、顔が怖い。スキンヘッドに、剃り上がった眉毛をいつもしかめている。道で会ったら、飛び退くレベルだ。
そんなヤクザみたいな見た目だけど、うちの店に来れるくらいだから、たぶん、堅気だ。
70歳のママが仕切るうちの店は、銀座で40年の老舗だった。そのためか、“お姉さん”もお客さんも年季の入ったツワモノばかり。60代はざらで、80代、90代の引退した政治家や経済界のトップもごろごろいた。二十歳になったばかりの私にとって、もくもくの煙草のけむりと、シャンデリアのぎらぎらの光に包まれたそこは、得体のしれない妖怪たちの巣食う城で、日々冷や汗を流しながら格闘していた。

Kさんはそのうちの一人、65歳のお客さんだった。

Kさんのセクハラは豪快だ。
初めて会った日、まだ店に慣れない私が隣に座ろうとすると、いきなり無言でぐわしっとお尻をひっつかんできた。
私はそのとき、まだまともに男性とお付き合いしたこともないおぼこ娘だったから、ぎゃーっと叫んで飛び退いた。
Kさんは「へっへっへ」と笑うと、
「男にケツさわられてビビるようじゃ、銀座じゃとてもやってけねぇな」と、予め私の敗北を見透かしたような事を言うのだった。
「セクハラのコツはよ!女が席について、会話が始まらないうちに、いきなり手えつっこんでおっぱい揉むんだよ!そうすれば怒られねぇんだよ」と、つるつるの頭を真っ赤にして、ニヤニヤしながら言う。
「女の子はヌーブラしてるじゃん。どうするの?」と聞くと 
「ヌーブラの中に、指を入れるんだよ」と言う。
そんな、サイテーのヤツである。
しかしKさんは、見た目と上辺の言動に反して女の子たちには優しく、私がライターの火の長さを見誤ってうっかりKさんの鼻を燃やしそうになったときも、全く怒らず、へらへら笑っていた。
Kさんは何の仕事をしているのか分からないが、うなるほどお金を持っていて、いつも一人で深い時間にふらりと現れた。その横には、この店で3番目にキャリアの長い、50代の“お姉さん”のナツヨさんが、丸太のような身体をソファにみっしりと詰め込んで座っていた。
高そうな着物で簀巻きにされたナツヨさんの胴体は、鬆がなく、むっつりと肉に満ちていて、女の私でも触りたくなるような、ふかふかとした肌をしている。透き通るような白い顔に、真っ赤な唇がちょんと乗っている。
プライドの高いベティー・ブープと、歳を喰ったポパイ。
この2人は20年来の付き合いなのだと、私は白髪頭のママに聞いた。
その時の私は、結婚もしていない男女が20年もどういうわけで連れ添えるのか(しかも、店の女と客という関係で)まったく想像しがたくて、とかく、この世に起こる事は不思議だらけだな、と、目の前で繰り広げられる、時に甘やかで、時に意地汚い男と女の世界を外側からぼーっと眺めつつ、自分はそこに混ざれなくて、必死に水割りを作り続けていた。

そのKさんがいつも出前で頼むのが、銀座「たこ八」のおでんだった。
「たこ八」は夜の店で人気の出前店である。明石焼き風たこ焼きとおでんを、客席まで届けてくれる。泰明小学校の近くに店舗があり、ちょいと飲むのには最適の店だ。
本来はたこ焼きの店だが、Kさんが寒い日に頼むのは、いつだっておでんだった。
ギラギラのシャンデリアの下に、あたたかそうな風呂敷包みが届く。
なよやかなちりめん友仙の風呂敷をほどくと、漆塗りの重箱の中に、ほかほかのおでんの具が、ぎっしり詰まっている。
つやっとした黄金色の汁が、シャンデリアの光をうけてきらきらと震える。その中に、真っ白な湯気を衣装のようにまとって並ぶ、ぷるぷるの具材たち。
Kさんは、テーブルについた女の子にも必ず「食べろ」と言ってくれた。遠慮する私に、ナツヨさんは「いいから」と、いつもの通りの無愛想さで割り箸をよこす。
ふわっふわのはんぺんに歯を立てると、じわあと汁があふれだす。
だしが喉をすべりおちる。こっくりとした鰹ぶしのうまみが、食道に染み込む。
肌理のこまかなちくわぶは、やわらかくて繊細だ。
これまでの人生で食べたことのないくらい、なめらかで味のしみわたった捻りこんにゃく。
厚揚げ豆腐のぷつぷつと粟立つ肌は、適度な弾力で歯を喜ばせる。
Kさんはそれをナツヨさんに「あーん」してもらう。
Kさんはこの時だけ、子供のような顔になる。
たこ八のおでんにはタコ串が入っている。「タコタコ、タコ頭」と言いながらKさんはそれをほおばる。湯気のせいで、Kさんのスキンヘッドは真っ赤に火照っててらてらと光る。共食いですねと言うとKさんはタコをほおばったまま、拳で肩をパンチしてきた。
銀座のお店で出前を取る客は多い。けど、私は高級官僚のお客さんがお祝いで取る豪華な寿司よりも、Kさんの頼む素朴なおでんのほうが、ずっとずっと楽しみだった。
店に勤めて3年が経った頃。
Kさんがガンになった。
半年ぶりに店に来たKさんはひどくやせこけ、髭は真っ白になっていた。
Kさんはそれでも、病気のことなどおくびにも出さず、いつものようにへらず口を叩きながら、ウイスキーグラスを傾ける。ナツヨさんはその横で、まるで何事もないかのように座っている。
いつも通り、たこ八のおでんが運ばれて来た。
「これ喰わなきゃよ、この店に来た気がしねぇよな」とKさんは笑う。「うちはおでん屋じゃないわよ」とナツヨさんは言う。
Kさんが急にいててて、と言って、身体をねじった。腰のあたりをおさえている。ガンが進行して、薬の副作用が出ているんだろうか。
激痛がKさんの身体を蝕んでゆくのが、目に見えて分かった。
顔をゆがめたKさんの頭は真っ赤だ。けれど、Kさんは何事もないかのように、おでん喰わせろ、と言う。
ナツヨさんは、心配するそぶりも見せず、おでんのちくわを一口大に箸で割いて、ふー、ふー、と息を吹きかけ、Kさんの口元に運ぶ。
店のヘルプの、ちょっとだけアタマのたりないAちゃんが「ガン〜!ガンなのにお店に来るなんてすごいですう、私、もし自分がガンになったらたぶんショックで寝たきりになっちゃう」と、場をぶちこわすようなことを言ったけれど、ナツヨさんはAちゃんを、いつもヘルプが粗相をした時にするみたいにぎろっと睨むわけでもなく、黙ってKさんの口元におでんを運び、背中をさすり続けている。

Kさんの顔がよりいっそう険しくなった。
脂汗をながして、ぎゅっと目をつぶる。目尻の皺がいちだんと深くなる。
Aちゃんが、抜きすぎて砂漠の林みたいになった眉根を寄せて「だいじょうぶですかぁ〜?」と言う。
Kさんはそれを無視して、もくもくとナツヨさんが口元に運ぶおでんを食べる。
きっと、Kさんは自分の“痛み”よりも、“痛くてもここに通ってる”ことに注目してほしいのだ。

Kさんのふしくれだった手は、それでもお金持ちのおじいさん特有の、ほかほかとしたピンク色で、桜のでんぶを思わせるような赤い斑が、ところどころに浮き出ている。
私は、なんて声をかけてよいのかわからなくて、Kさんの手をそっとにぎった。
お客さんの手を自分から握るのは、それがはじめてだった。
Kさんは顔をゆがめたまま「おおきに」と言った。
Kさんの大阪弁を聞いたのは、それが最初で最後だった。

今も私は寒い冬には、たこ八ののれんをくぐる。
デートには向かない店だ。なんでこんな店知ってるの、と言われたらなんと答えたらいいかわからないし、男女の会話も似合わない。だから一人で来て、ちょっと飲んで帰る。本来はたこ焼きの店だから、一年中通えるんだけど、ここに来たくなるのは、いつだって冬の日だ。
おでんの湯気が、赤い壁を撫でるように揺れている。
その湯気の向こうに、私はKさんの禿げ頭を探す。

===
たこ八 数寄屋通り店 (たこはち)
http://tabelog.com/tokyo/A1301/A130103/13007812/
東京都中央区銀座7-2-12
平日:18時~2時 土曜:18時~23時
夜10時以降入店可、夜12時以降入店可
JR新橋駅3分 JR有楽町駅6分 地下鉄銀座駅5分
#同時日記 #おでん 

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4月9日(木)田房永子×小野美由紀トークイベント「女が病まずに生きるには?」@吉祥寺PARCOブックセンター

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20150317160912

9日(木)漫画家、エッセイストの田房永子さんと、新刊出版記念にトークイベント・サイン会を行います。

田房さんは、非常に聡明な方で、男性中心主義社会の矛盾や、それによってもたらされる女のジレンマについて、とてもわかりやすく、仕組みを描き出すことのできる作家さんです。

今回は、その田房さんがずっと追い続けているテーマと、傷口から人生に通底するテーマである「女が成年してからどうやって自己肯定感を得るか(病まないで生きられるか)についてお話ししたいと思います。女のと銘打っていますが、田房さんの新刊が男社会について書かれたものなので、男の生きづらさについても触れるかと思います。
個人的には田房さんの執筆活動のスタイルというか、どうやってあの個性的な作品群を生み出しているかに興味があるので、それについてもお聞きしたく思っています。
トーク後にサイン会も行います(人生初!)ので、すでに著書をお持ちの方はご持参いただければサインも可能です。

本屋さんでのイベントは初で、気持ちは春と相まりすでに飛び気味。どうぞよろしくお願いします。

 

日時:4月9日(木) 19時~
会場:パルコブックセンター吉祥寺店特設会場

【参加方法】

パルコブックセンター吉祥寺店にて、『男しか行けない場所に女が行ってきました』(1,200円+税 イースト・プレス 2月1日発売)もしくは『傷口から人生。』(580円+税 幻冬舎 2月10日発売)をお買い求めいただいたお客様に整理券を配布いたします。レジにて参加希望の旨お伝え下さい。

※ お電話でのご予約も承ります。(0422-21-8122 午前10時~午後9時)

※ 予定数に達し次第整理券の配布は終了いたします。

詳細はこちらをご覧下さい。

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「傷口から人生。」発売によせて

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表紙

2月10日に、拙著「傷口から人生。メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった (幻冬舎文庫、626円)」が発売した。

 

この本を通して私が書きたかったのは、

「他人や社会を恨まないためにも、自分の好きに生きたほうがいいよ」という事だ。

 

インターネットを覗けば、恨みと怒りが溢れている。

ヘイトスピーチ、社会的な不平等、性差、育児問題、恋愛、社会への不満。

「外国人が、男が、女が、夫が、妻が、会社が、上司が、日本の社会の仕組みが、恋愛のあり方が」、“私たちに、不幸を運んでいる”。

誰かのせいにして、批判する意見ばっかりだ。

 

まったくもってくだらないと思う。くだらないけれど、同時に、そうなってしまう仕組みもとてもよく分かる。

 

みな、恨みたくないけど恨んでしまう何か、あるいは恨みたいけど恨みきれない何か、に対して怒っている。

その怒りが、社会や他人への不満として噴出している。

 

また、私はブログで家族問題や対人関係、恋愛について多く書いているせいか、よく読者から悩み相談のメールが来る。

「就活に失敗して苦しいです」

「母が私のことを分かってくれません」

「コミュニケーションが苦手で友達ができません」etc。

私はそういうメールに対して、よほどのことがない限りは返事をしない。他人の悩みに関わり続けるのは、とても難しいからだ。

 

その代わり、そういうメールをくれる人に対して、

「あなたがもし、自分のことを「イケてない」と感じているならば、それは他人や社会を恨んでいるからだ」という事を突きつけたくて、この本を書いた。

 

この話は、「軟弱で、不幸を社会や他人のせいにしていた女の子が、母親を殴り殺して、自立する話」だ。

 

私は長い間、母親を恨んでいた。

母親だけではない。今から振り返ってみれば、就活しかり、仕事しかり、恋愛しかり、その都度、社会や他人も恨んでいた。

そのせいで、だいぶ遠回りしてしまった。

今となっては、それは自分のせいだと分かるけど、その恨みの渦中に居る間は、自分を受け入れてくれない社会や母親を恨んでいた。

恨んで、そして、逃げていた。

本当は、「自分がしたいようにしていない」だけなのに。

 

ずっと前に、毒母問題のシンポジウムを見学しに行った時に、壇上でパネリストの人が、母親から受けた被害やトラウマについて延々と訴えたり、怒りを吐露したりしていた。

その時、パネリストの一人に、有名なカウンセラーの女の人がいて、その人は、会場にいる誰よりも怖い顔で「母親なんか許さなくていいんですよ!」と叫んでいた。

私は、その怖い顔を間近に見ながら、「この人のほうがカウンセリングが必要なんじゃないか」とぼんやり思った。

この会に来ている人たちは、他人の、母親に対する恨みや怒りを聞いて、スカっとするかもしれない。でもそれは、リストカットがスカっとするのと同じで(なぜリスカがスカっとするかについては、拙著の中の「私はいかにして、自傷をやめたのか」という章に書いてある)

根本的な解決にはならないんじゃないかなとは思った。

 

また、よく「他人を許さないと幸せになれないよ」と言う人もいる。

それは圧倒的に正しいとは思うけど、でもそういうことを言う人はたいがい説明不足だ。

「なぜ他人を許さないと」「幸せになれないのか」のロジックについて、恨んでいる最中の人が納得できるように説明している人を、私は今までに見た事が無い。

私もうまく説明できない。だから、代わりにこの本を書いた。

「他人を許さないと幸せになれないよ」とか「親を愛さないと自分も愛せないよ」とか言うことは、「親なんて許さなくていいんですよ!!」と激怒することと、正反対に見えて全く一緒だと思う。

人が、誰かを許したり、恨みを止める過程、そこにたどり着くまでのプロセスというのは千差万別だから(それは佐々木俊尚さんの「愛の履歴書」のインタビューをしてみて思ったことだ)

何が正しいかは私にも分からない。「こうしたらいいですよ」と言うのは言えない。

ただ、この「許さなくていいんですよ!」という怒りと「許さないと幸せになれない」という振り幅の、その間にある繊細な葛藤を書きたいと思った。

 

恨むんだったらとことん恨み尽くしてもいいと思う(それは、たいてい、やる前には思いもしなかった結果をもたらすものだけど)。

ただ、誰かを恨んでしまうことに苦しさを感じたり、恨みたくないのに恨んでしまうのを、もう辞めたいと思うなら、人生の中の、「誰かのせいで好きに生きれないなあ、しんどいなあ」という部分を解決しようとフォーカスするのではなく、「自分の好きに生きる」領域を、少しずつ、押し広げてゆくことが有効なんじゃないかと思う。

“どうにもならない今の時点”の中で、「自分の好きな事、快適にいられること」を押し広げてゆく。本当に、1ミリ1ミリでいいから。

そうしているうちに、思いも知らなかったやり方で、いつか、恨みから脱却していると思う。

 

(蛇足だけれど、「自分の好きな事、快適にいられること」を押し広げるためには、そのことについて、自分で言語化することがけっこう重要だな、と思う。そのために、文章を書いたり、カウンセリングを受けたり、あるいは誰かと話したりすることは、役に立つのかなと思う。)

 

これだけたくさんの人間がいる世の中だから、いつだってままならない事はいっぱいあるし、社会のひずみというのはどうしたって生まれてしまうものだけど、でも、「自分が心地よく、快くいられる方法」を探す事は、誰にだって許された権利だし、今は辛くて、ああ、もうだめだ。自分なんかにはそんな権利がない、と思ってしょげている人にも、それを求める力は、身体の奥深くで眠っているものだと思う。

だから、今、何かが上手くいかなくて、苦しかったりもやもやしたり、自責感に苛まれている人は、安心してほしい。

無理に、元気を出す必要もない。

もやもやした人生を、ただ、快なるままに過ごすだけでいいと思う。誰にどう思われるか、他人に迷惑をかけていないか、社会的にどうかなど気にせずに、ただ、すこしずつ、一個一個の不快のスイッチを、快に切り替える作業に淡々と励めばいいと思う。

そうしているうちに、人生が自分をどこかに運んでくれる、ということがある。

悩みのメールをくれる人に対しては、私は返事はしないけど、ただ、それぞれが、自分の快なる道を歩んでほしいと、そう強く願う。

 

 

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満席に付き〆め切りました:【「傷口から人生。」出版記念トークイベント】魁!メンヘラ塾!!~死にたくならずに生きるには?!2月11日(祝)

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※満席になりましたので、〆切りました。

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どーして死にたくなっちゃうの~?
こんなに健康なっのっに~?
ト ラ ウ マのー、せいなのね、そうなのね?
(辛いぜ、マジ!)
ウィッス!!!!

……わしがメンヘラ塾塾長であるッッッ!!!!!!

2月10日に初のエッセイ集である「傷口から人生。 メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった (幻冬舎文庫)」を発売する文筆家の小野美由紀と、「愛の授業」などで宮台真司らと対談し話題となった、元ナンパ師で心理カウンセラーの高石宏輔がメンヘラについて徹底討論!!

メンヘラとは:元々は精神疾患や人格障害など、メンタルヘルスに問題を抱える人を指すネットスラングだが、最近では「私昨日まじメンヘラだった」「元カノから朝起きたらLINE50通来てたんだけどメンヘラなのかな?」などと言うように、悩んでいる人、執着ゆえに何かに振り回されている人々の事を広義に指す。

 

対人関係、家族関係、恋愛……。

なぜ私たちは悩むのか!?

なぜ、朗らかに生きられる時間は短いのか?

できるだけくよくよせずに生きるには、一体どうしたらいいの?

自傷、不登校、毒母、パニック障害、セックス依存症、うつ、摂食障害……etc、
元メンタル問題の総合商社の2人が語る、落ち込みがちな人がこの世で生き延びるための戦略とは何か?!?!?!

今回、質問の時間を多めに取り、皆様から寄せられた疑問に二人が答えます。

・仕事につまずいている
・コミュ障が治らない
・なんでかいつも恋愛が上手く行かない
・飲み会がイヤでイヤで仕方が無い
・毒親、毒家族がマジで重い
………etc、対人関係、家族、仕事の悩みに、劇薬的に効く2時間!

 

ふるってご参加ください!

当日会場では、「傷口から人生。 メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった (幻冬舎文庫)」の販売も行います。

通常626円のところ、600円で販売いたします。消費税分安くなりますので、ご来場になられる方は、Amazon等で買われるよりも少しだけお得です。

(登壇者)

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小野美由紀
1985年生まれ。慶應義塾大学仏文科卒。ライター。エッセイスト。
コミュニケーションや家族、対人関係を取り扱うブログが人気。
2月10日、自身が経験した家族問題、仕事、対人関係の悩みについてを描いた「傷口から人生。 メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった (幻冬舎文庫)」を発売する。
他の著書に「ひかりのりゅう」(絵本塾出版)など。
http://onomiyuki.com/

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高石宏輔
1980年生まれ。慶應義塾大学仏文科中退。カウンセラー。催眠療法師。
自身のナンパ経験を元に「ラポールと身体知」など、多数のワークショップを開催。セッションに身体的なアプローチを得意とする。
2012年には、新宿ロフトプラスワンで行われたトークイベント「宮台真司の愛の授業」で、ナンパや性愛について対談し話題に。
http://takaishi-hirosuke.com/

<日時>

2月11日(祝) 18:30開場 19:00開演(終演21:00)

<値段>
1000円

<定員>
40名(先着順:定員を超えてからお申し込みの方は、お立ち見となる可能性がございます。予めご了承ください)

会場:CreativeHub131 5階イベントスペース 「NICAペントハウス (Nihonbashi Institute of contemporary arts)」

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〒103-0011東京都中央区日本橋大伝馬町13-1 地下1階

※1階が「RENSA日本橋」というカフェです。カフェの裏手に周り、エレベータで4階までお越し下さい。その後、階段にて5階までお上がりください。

詳しいアクセス方法はメールにてご案内します。http://publicus.jp/sp/

営団日比谷線小伝馬町駅から徒歩3分 JP総武線快速馬喰町から徒歩4分

地下鉄 都営浅草線東日本橋駅から徒歩5分

他、JR神田駅、秋葉原、浅草橋より歩いて15分程度

<応募方法>
※満席になりましたので、〆切りました。

 

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【お知らせ】2月10日、 エッセイ集「傷口から人生。メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった」が出ます。

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表紙
傷口から人生。メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった

2/10、幻冬舎さんより、エッセイ集

「傷口から人生。メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった」(幻冬舎文庫、626円)

が出ます。

・就活失敗して死にたい

・飲み会がイヤでイヤで仕方が無い

・毒親、毒家族が重すぎて困っている

・仕事につまずいて身動きとれない  

………等の悩みに、劇薬的に効く一冊です。

まだまだ有名ではない、新人なので、全部脱いで書きました。
仕事、恋愛、対人関係、家族について、つまんないジブン地獄にモヤモヤしているすべての人に向けています。メイン読者層は18〜25歳くらいではありますが、不登校とか就活に悩んでる子どもを持つ、お父さんお母さんにも読んで欲しいです。

Amazonで予約を開始していますが、できれば、発売日に書店で購入していただけるととても嬉しいです。

表紙イラストは、でんぱ組等とのコラボで注目度急上昇中の愛☆まどんなさんの絵に一目惚れして、彼女にお願いしました。

キラキラ目のインパクトある表紙が目印です。

電子版も同時発売です。

どうぞよろしくお願いします。

 

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上手い自己紹介

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自己紹介が下手だ。
人前で、自己紹介をしてください、と言われて、上手い自己紹介をできた、と思った事がいっぺんもない。

あるとき、いわゆるリア充っぽい人たちばかりが集まるパーティーに参加したことがある。
その中でホスト役の男の子が「一人30秒で自己紹介をしよう。」と言い出した。
全員に緊張が走った。
私は焦った。ここで何を言うかが今後の人間関係を決めるかもしれない。順番は10番目だった。あと10番のうちに、面白い自己紹介を思いつかなければ。
一人ずつあいさつをしていく。「○○商社の××です」とか、「某有名IT企業の企画部です」とか。
そのうち一人が言った。
普段滑り慣れている滑り台を、何千回目かに滑り降りるような口調で、抑揚も無く彼は矢継ぎ早に言った。
「東大出て電通行って、アメリカでMBA取って今コンサルです」
ロイヤルストレートフラッシュだと本人だけが言っているけれども、その中の一枚にもキングが描かれていないような、そんな自己紹介だった。
その場にますます、あからさまな緊張が走った。男子も女子も、全員の目の色が変わった。すでに自己紹介を終えた人間からは憎悪が、これから自己紹介をする人間からは怯えが立ち上った。

こんな下手な自己紹介は聞いた事がなかった。
今、この場で、彼ぐらいコミュ障な人はいないだろうな。
こんなに彼自身のことを表している、そして、表していない自己紹介は無いな、と思った。

次に、私のとなりにいた友人が、自己紹介をすることになった。
その会場には大きなテレビがあり、お洒落感の演出のためか、会の最中ずっと、古い白黒のアメリカ映画が流れていた。
彼が自己紹介をはじめたとき、画面の中では、マフィアみたいな、いかにもろくでなしっぽい男の人が、バーでタバコを片手にマリリンモンローみたいな女性を口説いていた。

「自己紹介が始まるまで、ずっと、この映画を眺めてたんですけれど」
彼は言った。会場にいる全員が、思わずテレビの画面を見た。
「この主人公は、毎日、ブラブラして、酒を飲んで、タバコを吸って、女の人とセックスしてるんですけど、ぼくも、ちょうど今、そんな生活を送っています」

会場の全員が笑った。MBAの人は、しまった、みたいな顔をしていた。
なにひとつ彼のことは分からないけれど、彼のことをこれ以上言い表している自己紹介はないなと思った。

このMBAの彼も、後者の彼も、私も、根底では同じ欲望を抱いている。
みんな、良く思われたくて必死だ。
働くために、何かを成すために、コミュ力が必要なのではない。
さびしさを紛らわすために、コミュ力が必要なのだ。

私はまだ、上手い自己紹介ができない。それはたぶん、緊張せずに他人と関わることがまだできない証拠だ。
でもそれでもいいと思う。人とうまく関われないさびしさを否定せずに生きてゆきたい。
そしてもし、次に自己紹介をする機会があるなら、その時は後者の彼のように人を笑わせたい。

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人前で話す

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人前で人と話す。

たったそれだけのことなのに、なぜか緊張する。

まるで他人の視線という妖怪に取り憑かれたみたいだ。



「性と生のディアローグ」という連続トークイベントの第二回が終わった。

以前、別のイベントスペースで、「小野さんファシリテーターでなにかイベントをやりませんか」とお声がけいただいたのをきっかけに始まった企画だ。

この会では、私の好きな人を呼んで話している。

来てくれる方々には私の興味にお付き合いいただいている感じだ。お付き合いいただいているのだからもう少し来場者の立場に立って話せればと思うのだが、興味があることしか聞けないので申し訳ないが個人的な聞き方になる。

第一回の代々木忠さんの時には相手が大物で、初回とあって緊張した。

この時は、西村佳哲さんのワークショップの作り方を徹底的に真似した。

西村さんの、「『自分の仕事を考える3日間』を作るワークショップ」を受けたときに習ったことを総動員して、全部ぶち込んだ。なのでこの回の構成は西村さんのやり方の丸パクだと思ってもらってよい。雰囲気づくり、会場との距離、流れ、代々木さんとの関係性。トークの最中も、西村さんになりきるつもりで話した。代々木さんと話しながら、西村さんの目を、声を、手の動きを思い出していた。

真似するのが果たして良いことだったのかどうかは、分からない。

模倣はあくまで模倣であって、話すのはあくまでも私だからだ。

西村さんには見せて恥ずかしくないイベントになったと思うけど、聞き手の方々に随分と助けられたからこそ、そうなったような気がしてならない。



第二回の奥谷さんの時は、ボイストレーナーの徳久ウィリアムさんが教えてくださった、集中と発声のワークが役に立った。

『無理してリラックスする必要は無いんですよ』と徳久さんは言った。

『それよりも、必要なのは集中なのです』

私はこれまで、人と話す時には緊張をほどかなければいけないものだと思っていた。けれどそうではなかった。身体を使って集中状態に持ち込むワークを、徳久さんは教えてくれた。話すというのは頭で行っている行為のようであって、じつは、身体に任せることなのだ。対人関係は身体のことだから、身体に任せたほうがじつは上手くのだと言う事に、私はこの時、はじめて気づいた。

奥谷さんの身体の底からいくらでも湧いてくるパワフルなトーク力と、楽しんでくれた来場者の方々の柔軟性で成り立ったイベントだなと思う。



当たり前のことだけど、イベントというのは毎回、雰囲気が違う。

同じ箱でも、来場者の方とゲスト、全員のその日のテンション、それが全部合わさって場を作る。私の企画だとしても、それは私のものではない。本当に何が起きるのか私にも分からない。私にできることは、ただ、はじまりの合図をすることだけだと思う。この場に生まれる雰囲気にたゆたうつもりで、今後も好きな人たちとしゃべりたいなと思う。



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