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いまのふくしま① 「それでも、この土地で生きてゆく」鎌田千瑛美さん(ふくしま連携復興センター)後編

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6.自分で行動する人の芽を育て、発信してゆく

 

—復興について、福島の方々はどんなイメージを持って取り組んでいるのですか?

 

そもそも、まだ具体的な復興のイメージを持てている人が少ない。

前代未聞の出来事なので、

「一体どういう段階になったら復興したと言えるのか?」って。

その、モチベーションの拠り所のなさが、

自ら立ち上がる住民が増えない原因になったりして、復興を遅らせている。

 

−鎌田さん自身は、どういう状態が『復興』だと思いますか?

 

私が目指したい『復興』は、

“福島で、家族が普通に笑っておでかけできるようになること”。

 

つらいことはたくさんあったけど、

前よりもちょっといい街になったよねって思えること。

「身の丈にあった福島なりの幸せ」を感じて、誰しもが普通に暮らせること。

例えば、原発事故でたくさんの被害を受けたけど、

それをきっかけに放射線の新技術が開発されて、

結果的にプラスになった、とかでもいいので。

 

今のマイナスを、プラスに転じる方法が無いかを一人ひとりが考えて、

市民の間から復興計画が出てくるようにしたい。

 

—自分たち自身でなんとかしようと考えて、

行動しようとしている事は本当にすごいと思います。

 

震災前の福島は、すべてが豊かで、

頑張らなくてもそこそこ幸せになれた。

それにあぐらをかいていた部分もあるかもしれない。

 

でも、それが震災で失われてしまった。

今までどおりではもう行かなくなった。

 

南相馬市の住民の間では、

事故当時、物資も水もガスも届かなくなって

「南相馬は国から見捨てられた」

という感情が広がった。

だからこそ、奮いたたされた部分がある。

 

誰かに頼るのはもう終わりです。

行政のせい、他人のせいにすることはもうできない。

その中で、心折れずに自分たちの手で足で、

復興を続けてゆくためにどうしたらいいのか、考え続けたい。

 

福島市の飲食店の店長が、

「俺は“R40ワイン”を作りたい!」とか言ってるんです。

風評被害で売れない福島産の食材を使って、

40歳以上の人だけに売るプレミアムワインを作ろうって。

 

−へぇ、面白いですね。

 

そういうアイデアも、

今回の震災で今までの豊かさが無くなったからこそ、

言えるようになったんだと思う。

 

失ったものが大きかったからこそ、可能性がある。

そう思って前向きに活動している人が、福島には探せばたくさんいるんです。

そういう人の芽をつぶさない事が大事。

そういう人たち一人ひとりの顔が見えて、

他の地域、それも日本だけじゃなく世界中と

face to faceでつながれる未来を作ってゆきたい。

 

今、福島はどういう状況で、自分たちは何をやっていて、

何が必要で、というのを外の人に伝えられるように。

 

今までの環境が恵まれ過ぎていたゆえに、

自分をプロデュースするとか、考えを外に発信するとかは、

福島の人にとっては苦手な分野ではあるのだけど・・・。

そういう部分は、外部の人たちともうまく連携していきたい。

復興してるんだよ!という事を、たんたんと。

でもしっかりと、見せてゆきたいです。

 

−ありがとうございました。

 

前をしっかりと見つめて話す、

鎌田さんの語りには、

たとえネガティブな事実を語るときであってさえ、

「この事実をどうやって解決しよう?」という

未来に向けた意志の強さが感じられた。

 

ただし、その意志の根底にあるのは、

故郷のことを気にかけ、そこに住む人たちが

よりよい暮らしをできるよう祈っている、

普通の女の子の、普通の思いだった。

 

福島や被災地のことを気にかけながら、

怖いからといって蓋をして

「かわいそうな土地」のラベルを貼りっぱなしにしているのは、

実は私たちなのかもしれなかった。

 

短い滞在だったけど、行って見て本当によかったと思う。

そこにあるのは、

カタカナのフクシマではなく、

ひらがなのふくしま、だった。

 

イメージの中のゴーストタウンではなく、

ひとが生きている場所だった。

原発の是非、次のエネルギー、命の安全。

いろいろな問題の解を、

誰よりも考えている人がいる場所でもあった。

 

被災を苦しみに終わらせず、これからの暮らしの

先駆けとなるような事例が、

どんどん生まれるような場所になるかもしれない、という予感さえ抱いた。

 

震災をきっかけに、

福島と東京はある意味、つながったように思う。

これまで無表情だったお互いの目鼻立ちが、急に、見えてきた。

 

それを悪く捉え、お互いを批判し合う関係に

陥るより、両者で何か新しいものを

生み出してゆくきっかけにできたら。

そう強く感じる。

 

これからも、「自分と関わりのある土地」としての

福島を訪れ、取材してゆきたい。

 

東京に住む、一人の人間として。


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いまのふくしま① 「それでも、この土地で生きてゆく」鎌田千瑛美さん(ふくしま連携復興センター)後編」への9件のフィードバック

  1. “今起きていることを知って、現実とちゃんと向き合える人が、魅力的な女性だと思う。” 鎌田千瑛美さん(ふくしま連携復興センター) http://t.co/3lxouybO via @MiUKi_None

  2. いまのふくしま① http://t.co/RzcfYVRw 私も同じく悩んでいる一人。いろんな葛藤の中で過ごしている。この活動は、支えになると思う。

  3. 震災後故郷の福島に戻り活動するチッキー。20代独身女性の今を語っています・・・いまのふくしま① 「それでも、この土地で生きてゆく」鎌田千瑛美さん(ふくしま連携復興センター)後編 | None. http://t.co/QkAIUdtG @MiUKi_Noneさんから

  4. このページの言葉は多くの人に読んでもらいたいです/いまのふくしま① 「それでも、この土地で生きてゆく」鎌田千瑛美さん(ふくしま連携復興センター)後編 | None. | Page 2 http://t.co/Q7DRq2pP @MiUKi_Noneさんから

  5. 鎌田千瑛美:私が目指したい『復興』は、“福島で、家族が普通に笑っておでかけできるようになること”RT@MiUKi_None @chikky55さん曰く後編のほうをぜひ読んで欲しいそうです。福島に住んでいるからこそのメッセージが詰まってます。http://t.co/0sBmfSwh

  6. たとえば、福島では今、 マスクをつけるということが特別な事のような空気がある。 / “いまのふくしま① 「それでも、この土地で生きてゆく」鎌田千瑛美さん(ふくしま連携復興センター)後編 | None.” http://t.co/Dy0PVlzE

  7. ありがとうございます!中之作プロジェクト、MUSUBUの宮本さんからお聞きして、とても気になる活動です!@harufactory いまのふくしま① http://t.co/orYdCvF7 私も同じく悩んでいる一人。いろんな葛藤の中で過ごしている。この活動は、支えになると思う

  8. @retz @chikky55 先日の記事、269いいね!されてる。鎌田さんすごいですね。ちなみに後編http://t.co/t9jvomaMも公開していますが、こちらのほうがより鎌田さんらしく、生生しいのにあまり読まれていなくて残念。。

  9. @MiUKi_None ちゃん、どうもありがとう!@retz 先日の記事、269いいね!されてる。鎌田さんすごいですね。ちなみに後編http://t.co/orYdCvF7も公開していますが、こちらのほうがより鎌田さんらしく、生生しいのにあまり読まれていなくて残念。。

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