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※このエントリはコワーキングスペース「co-ba」で行われた企画「ハンパないブロガソン!」中に執筆されたものです。

最近greenzの編集長のYOSHさんとおしゃべりしたり、メディア関係の面接を受けたり、取材をする中でなんとなく「これからのメディア」というものについて考えることがあったので、書きます。

これからのメディアは、コミュニティを作れるメディア、もしくはコミュニティから自然発生したメディアのみに自然淘汰されてゆくと思う。
すなわち、マス媒体(本・雑誌・WEBマガジン・フリーペーパーなどソーシャル以外のメディア)は戦略的にコミュニティの獲得に乗り出さないと生き残れない、ということ。

 

twitterとかfacebookに皆が求めている機能の一つに、誰がRTしてくれたのか、誰が自分の発言をふぁぼってくれたのかが分かる、ということがある。

誰が読んでいるか分からないブログと違い、自分の発した情報がどっからどこまで届いているか。RTとふぁぼ/フォロワーで可視化されてる、ってことだよね。
それは、発言内容によって広まったり狭まったりするけれど、定点観測し続けると「だいたいいつもの顔ぶれ」に落ち着くのではないだろうか。
つまり、どこまで自分の声が届いているのか、どこらへんまでが自分を応援してくれてるのか、自分のコミュニティがどこまでなのかを、俯瞰の地図を赤ペンでまるっと囲むように、だいたいの範囲を確認できる。その安心感たるや。

R.マリー・シェーファーの「世界の調律 サウンドスケープとはなにか」 (平凡社ライブラリー) という本の中で印象的なのは、

“16世紀までのヨーロッパでは、街の中心にある教会の鐘の音が響き渡る範囲までがコミュニティだった”

というくだりだ。鐘の音が唯一のメディアだった時代、どこまでこの情報が届くか?がコミュニティを定義していた。
けれど、近代以降に高層ビルが建設されはじめると、音が遮断されて聞こえなくなり、宗教を中心としたコミュニティは崩壊してしまった。とシェーファーは語る。

 

 

twitterのつぶやきって、『音』じゃないですか。中心のない鐘の音。

どこのだれが鳴らすかは自由で、でもどこのだれが鳴らすかが重要。

“あの鐘を鳴らすのはあなた”ってことですよ。

 

つまり今のソーシャルメディアを見ていると、旧態を捨てて進化しているというよりも、むしろ中世的なコミュニティ志向に逆もどりしつつあるんじゃないかな、と思える。

マスメディア的なもの、(つまり雑誌だったり、WEBマガジンだったり、インタラクティブじゃないもの)がソーシャルメディア性を獲得して生き残ってゆく方法も、ここにあると思う。

 

 

『誰がその鐘の音を聞いているのかもわからず』、『暮らしの根本にも紐づかず』、『誰が鳴らしているのかもあまり重視されないメディア』、つまり単なる情報発信だけのマスメディアは潰れてく。
「なんとなくこっからここまでがこれを読んでいる人たち」って赤ペンで囲めるような、コミュニティを伴う小さな媒体、もしくはコミュニティから自然発生した媒体だけが選択されていくような気がする。

greenz.jpとかまさにそう。greenzコミュニティを獲得してから、強くなった。

 

ミシマ社もミシマ社コミュニティがちゃんと出来上がってる。

あと雑誌で成功してるなーと思うのはエイ出版社。ニッチな雑誌がどんどん潰れる中でも売上高を伸ばしている。

エイ出版の発行物の多くは趣味系雑誌だけど、それぞれ読者向けのイベントの充実度がハンパない。Runnning styleのウェブサイトの充実ぶりとか、紙媒体と思えない。ウェブサイトでちゃんとファンを囲みこんで、コミュニティ化に成功している。趣味に打ち込んでいる人からしたら、自分の写真が誌面に載ったりウェブに載ったりしたら、うれしいもんね。

もちろん今までの雑誌だって、コミュニティを育てようとしてたことは間違いないし。昔のオリーブとか、読んでいても「同士がいる!」という気持ちにさせられてなんだか心ときめくし。ただ、近年の発行物に関して、読者が「属してる」感を持てるようなものが多かったか、というと、そうじゃないなぁという感覚があります。コミュニティがあったとしてもそれは読者ではなく、つくり手の内輪だったり。

 

the future timesなんかもすごく面白くて、これは、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤さんが、震災以降自分たちの暮らしや社会のあり方を見つめるために自腹で立ち上げたフリーペーパーなのだけど、それをマネタイズしてゆく方法が面白くて、発行毎に後藤さんが読者のためにオリジナル曲を一曲制作し、それをファンだったり、応援したい人が購入して、その収益でまかなう、というもの。
もちろんWEBもやってるし、WEBでは紙面で載せきれなかったインタビューの全文が読めたりして面白い。

 

後藤さんは「若い子たちに社会のことに関心を持ってもらうためには、10年ぐらい言い続ける必要がある」と言っていたけど、もともとアジカンのファンだった層と、社会問題に関心のある層が合流して、10年後には一大コミュニティができているんじゃないかな。

 

離島経済新聞ももちろんそう。

地域の小さなコミュニティだったり、大事にしたいことや人たちをミニマルに、でもきちんと大事にしてゆく媒体、読み手も作り手も顔が見えて、読み手の生活にきちんと根ざした媒体は大事にされて、そこに人が集まってくると思う。(詳しくは「#greenzイベント『ソーシャルデザインのはなし 〜 土と海編』のとぅぎゃったーをどうぞ。)

 

それを究極につきつめるとmurmurmagazineの服部みれいさんに行き着く(「半径1mのとこから雑誌を作る」という理念のもと、友だちとのテレパシー交信日記とかまでコンテンツにしちゃう。すごいよね!)

 

そういうふうに、自分たちの持つ特性を活かしたコミュニティを創造してゆける媒体は必要とされて、のこってゆく。
発信すること、それ自体が目的ではなく、これからの媒体は「コミュニティのためのもの」に変わってゆくと思う。

だから、これから媒体を作ってゆく人たちには、「どう読んでもらうか」「なにを言うか」ももちろん大事なんだけど、どうコミュニティを作るかを意識することも、戦略として必要なことなんじゃないかなぁ。

 ■

…なんか、こんなふうにコミュニティコミュニティ言っていると、コミュニティ大好き人間みたいでなんとも鼻持ちならないのですが、

そもそも私は暗い部屋でエレクトロニカを聞きながら太宰治を読んでいるようなオタク少女だったので、
「コミュニティ、大事ですよね!ソーシャル、美味しいです(^q^)」って目をキラキラさせながら言うようなタイプでは決してなく、むしろ本と雑誌がただただ好きな人間として、紙媒体を持つ出版社にはなんとかして生き残って欲しいと思っていて、そのための生存戦略として、コミュニティ志向に舵切りするのもいいのではないか、っていうか紙、頑張って!!という、単なる個人的な願いです。

 

以上に挙げた雑誌・フリーペーパー・ウェブマガジンはみな全部面白いので、本当におすすめです!

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紹介 author-img 著者

小野美由紀(MiUKi_None)作家。1985年東京生まれ。

コメント (11)

  • 返信

    2012年2月27日

    これからのメディア(のつくり手)ー教会の鐘とgreenz、the future times、リトケイ、とか。 | None. http://t.co/IPWGF2BB

  • 返信

    2012年2月28日

    中世の教会の”鐘の音”とコミュニティ形成に関する記事→http://t.co/Rppj2Qst 情報発信を受けてもらう人は多いに超した事はないと思うけど、受信側を皆均質とみなすと確実に衰退していく。受信母体内でコミュニティを複数構成し、育てていく事でそれが何らかの形で財産になる。

  • 返信

    2012年2月28日

    最後のオタク少女のくだりがいいですね。みうきさんらしくて。|これからのメディア(のつくり手)ー教会の鐘とgreenz、the future times、リトケイ、とか。 | None. http://t.co/MlMPkct3

  • 返信

    2012年2月28日

    一理あるけど、若干極論な気がする。
    これからのメディアー“中世的”コミュニティ化という生存戦略 | None. http://t.co/B6iKgxMy

  • 返信

    2012年2月28日

    “これからのメディア(のつくり手)ー教会の鐘とgreenz、the future times、リトケイ、とか。”
    http://t.co/44igH7dm
    「16世紀までのヨーロッパでは、街の中心にある教会の鐘の音が響き渡る範囲までがコミュニティだった」

  • 返信

    2012年3月1日

    端的に言うと、ここでいうコミュニティ全てが同一のものと言っていいのだ。異質なものがない。だからコミュニティでない。これからのメディア(のつくり手)ー教会の鐘とgreenz、the future times、リトケイ、とか。 | None. http://t.co/qxk5YSjn

  • 返信

    2012年3月5日

    いろいろキーワードが散りばめられている感じがします。⇒これからのメディア(のつくり手)ー教会の鐘とgreenz、the future times、リトケイ、とか。 | None. http://t.co/DDhUqFRc

  • 返信

    2012年3月6日

    はじめまして。面白く読ませて頂きました。

    コミュニティ作りというのなら、読者も本や雑誌の製作に参加できる仕組みがあれば面白いですね。

  • 返信

    2012年7月9日

    @sasakitoshinao こんにちは。以前、中世のコミュニティと現在のメディアの親和性についてのブログhttp://t.co/4XpoFVDHを書いた者です。そこでも取り上げたリトルメディア「リトケイ」がリアルの本屋さんで行おうとしてる情報デザインについて記事を書きました。

  • 返信

    2012年7月9日

    これからのメディア(のつくり手)ー教会の鐘とgreenz、the future times、リトケイ、とか。 | None. – http://t.co/30HVADqz

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