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相談はぐちゃぐちゃのままでした方がよい


12月14日

知り合いの編集者さんに小説を読んでもらって、アドバイスをもらう。

これまで1年半進まなかったのは題材や筆力の問題ではなく、構造の問題であることが明らかになる。目の前の霧が晴れたよう。もっと早く相談すれば良かった。

知り合いに言われたのは、「相談はね、相談内容がまとまってからするんじゃないんだよ。自分でまとめられるくらいなら相談する前に答えが出せるでしょ。ぐっちゃぐちゃの自分でもわけわかんない状態で、『それでも聞いてくれますか?!』って言って聞いてもらうんだよ」。

私はこれまでとにかく相談が下手で「とにかく何でも自分で解決できる人=エライ」と思ってた。相談=相手の時間を取ること、だと思っていた。

でも周りからしたら、相談しないばっかりに成果が出るのがずるずる遅れるよりは、相談内容はわっけわかんないし、しょっちゅうヘルプも出すけど、早く問題を解決して、それでも成果を出す人の方がいいに決まってるよね。

12月15日

昨日と今日続けて、著者の知人2人と会う。二人とも今年本を2冊出し、活躍している女性たち。

二人とも今年書きたいことは書き切って、次に何を書くか考えている、踊り場にいる状態。

こうして会って話すと、画面の向こうで輝かしい活躍を見ている人でも、それぞれいろいろな種類の悩みを抱えて、もがいて、あがいて、最終的な「本」という形にたどり着いているのだな、と思う。

自分だけではない、と安心する気持ち。

今やっている小説について、第二稿に入って急に進まなくなり、本当はこんなこと、書きたいわけじゃないのになあ、という思いと、書けてないなあと思う部分と、ここは絶対に書きたい、という部分がまぜこぜになってマーブル模様状態。自分でも選り分けられない。

今回の小説は、最初、編集者に何書く?と聞かれた時、

「ファンタジーを書きたい」と言ったら商業的に売りにくいからダメ、と言われ、最初から書きたいものに蓋をして始めた状態。

現代モノは現代にリンクしているわけで、その分現実とのフックがたくさんあり、わくわく、楽しく書いている一方で、次こそは書きたいことを好きなだけ好きなように書いてやる、という気持ちが、原稿に向かっている間も、パソコンを叩く指の隙間からも、ペン先からも漏れ出てきて、あふれてしまうのは止められない。

この気持ちを大事にしようと思う。

待ってろよ。

やっぱり私はファンタジーが書きたいのだ。

12月16日

月1で通っている、山梨の山奥にある陶芸工房「増穂登り窯」から、前回作った作品が焼きあがったとメールが入る。

増穂の窯は電気の窯ではなく、未だに薪と火を使って陶器を焼いていて、そのため1週間ものあいだじゅう人がつきっきりで窯の番をし、火を絶やさぬよう見張り続けなければならない。

窯の温度はゆっくりゆっくり、100、200、300℃……と上げてゆき、最終的には1400にまで到達するのだが、それがなかなか大変で、火は電気と違って人間の思うようにはいかないから、気を抜くとすぐに燃えが悪くなって温度が下がってしまうし、一生懸命薪を放り込んでいるのになぜか温度が下がってしまうことがある。

私はこの窯の温度を上げる作業がなかなか下手で、工房でアシスタントをしている宇田川さんに

「窯の火の温度を上げるコツはなんですか?」と聞いたら

「上げよう、上げようと思わないで、『下がらなければオッケー』くらいに思いながらやること。そうすれば自然と上がるから」

って。

下がらなければオッケー、かあ。

昨年は絵本も含めると3冊も出し、今年は一冊も出ていないので、「こんな自分はダメなんじゃないか」とか「私、本当に大丈夫かなあ」とか、焦りと不安の中でひたすら暗中模索の1年だったのだが、前作よりもクオリティが落ちてさえなければいい、と考えれば気が楽だ。

急に上げようとするから、上がらないのだ。3年くらいでまあ、1冊出るくらいで、自分にはちょうどよいのかも。

7日間かけて焼成する増穂の登り窯の火のように、自分をゆっくり上げていこう。


投稿者:

miyuki.ono1228

小野美由紀(MiUKi_None)作家。1985年東京生まれ。

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