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人前で人と話す。

たったそれだけのことなのに、なぜか緊張する。

まるで他人の視線という妖怪に取り憑かれたみたいだ。



「性と生のディアローグ」という連続トークイベントの第二回が終わった。

以前、別のイベントスペースで、「小野さんファシリテーターでなにかイベントをやりませんか」とお声がけいただいたのをきっかけに始まった企画だ。

この会では、私の好きな人を呼んで話している。

来てくれる方々には私の興味にお付き合いいただいている感じだ。お付き合いいただいているのだからもう少し来場者の立場に立って話せればと思うのだが、興味があることしか聞けないので申し訳ないが個人的な聞き方になる。

第一回の代々木忠さんの時には相手が大物で、初回とあって緊張した。

この時は、西村佳哲さんのワークショップの作り方を徹底的に真似した。

西村さんの、「『自分の仕事を考える3日間』を作るワークショップ」を受けたときに習ったことを総動員して、全部ぶち込んだ。なのでこの回の構成は西村さんのやり方の丸パクだと思ってもらってよい。雰囲気づくり、会場との距離、流れ、代々木さんとの関係性。トークの最中も、西村さんになりきるつもりで話した。代々木さんと話しながら、西村さんの目を、声を、手の動きを思い出していた。

真似するのが果たして良いことだったのかどうかは、分からない。

模倣はあくまで模倣であって、話すのはあくまでも私だからだ。

西村さんには見せて恥ずかしくないイベントになったと思うけど、聞き手の方々に随分と助けられたからこそ、そうなったような気がしてならない。



第二回の奥谷さんの時は、ボイストレーナーの徳久ウィリアムさんが教えてくださった、集中と発声のワークが役に立った。

『無理してリラックスする必要は無いんですよ』と徳久さんは言った。

『それよりも、必要なのは集中なのです』

私はこれまで、人と話す時には緊張をほどかなければいけないものだと思っていた。けれどそうではなかった。身体を使って集中状態に持ち込むワークを、徳久さんは教えてくれた。話すというのは頭で行っている行為のようであって、じつは、身体に任せることなのだ。対人関係は身体のことだから、身体に任せたほうがじつは上手くのだと言う事に、私はこの時、はじめて気づいた。

奥谷さんの身体の底からいくらでも湧いてくるパワフルなトーク力と、楽しんでくれた来場者の方々の柔軟性で成り立ったイベントだなと思う。



当たり前のことだけど、イベントというのは毎回、雰囲気が違う。

同じ箱でも、来場者の方とゲスト、全員のその日のテンション、それが全部合わさって場を作る。私の企画だとしても、それは私のものではない。本当に何が起きるのか私にも分からない。私にできることは、ただ、はじまりの合図をすることだけだと思う。この場に生まれる雰囲気にたゆたうつもりで、今後も好きな人たちとしゃべりたいなと思う。




紹介 author-img 著者

小野美由紀(MiUKi_None)作家。1985年東京生まれ。

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