大学生活について


3月の終わり、大学、カタリバ、道塾と相次いで卒業式を迎えた。
大学生活の「仕舞い」をつける度に、自分がどんな道を歩んで、
いま、どんな自分としてここにいるのか、を何度も考えさせられた。
自分にとっての「大学生活とは」を、
社会に出る今日、ここで示しておこうと思う。
「人生打って出し」というのが、私が6年間を通じて得たひとつの答えだ。
確かに、一本道をまっすぐ進んでいける人、「自分はこれだ!」って決めて進んで行ける人はかっこいい。
でも、大学1,2年生の段階で「自分はこれだ!」が決まっている人って、そうそういないと思う。
私自身、大学6年までやっていたことを振り返ると、表面的には何にも一貫性がない。
もうそもそも、入り口からしてコケてたから。
第一志望に落ちて、行きたい大学に行けずに「ちくしょう、見返してやる」と決意して仮面浪人を始め、キャバクラで予備校の授業料を稼ぎつつ大学と受験勉強を掛け持ちするも、3ヶ月で体力的に挫折。
腐ってテキトーに選んで入ったサークルは本当に面白くなくて。
なんかもう、これがあるべき大学生活の姿なのか。あまりにもしょぼくないか。本当はもっと違うことがやりたいのに、と、エネルギーの使い道が見つからないことに憤りを感じ、溶鉱炉のように悪い熱を溜め込んだ心の蓋はがちがちに硬くなっていた。
で、ちょうど専攻選択のときに、「自分の中のフランス性を検証する」とかいうテキトーな理由をつけて、フランス一人旅に出た。
「とりあえず」のエネルギーのぶつけ先を、見つけてみたんです。いいかげんに。
そしたらそれがムチャクチャ面白かった。
よし、じゃあ次はもっと海外に長く行こう、と思った。
そしたら交換留学の制度があることが分かって、しかもフランス語だったから、選抜の倍率も英語と違ってめちゃゆるい。これはチャンス、と思った。
でも一年のうちに全然単位なんか取ってなかったから、やばい!ということで、2年は全力で勉強しました。
オールA取らないと出願資格にも届かなかったから。本当に勉強以外しなかった。
で、カナダに交換留学が決まったら、6ヶ月の休みが取れることがわかった。
じゃあ世界一周すればもっと広い世界が見られるじゃん、と思って、思い切って世界一周に旅立ち、インドからアルゼンチンまで、22カ国を周った。
で、帰ってきたら、日本の若者、特に高校生は、今まで見てきたどの国の若者より目が死んでて、ショックだった。
小学館の筆記試験で、ボロボロの寒い会場の中、悲壮な顔で列に並んでいる大量の同じ格好の大学生を見て、
「ライフイズビューティフル」のアウシュビッツの風景とダブって、
そこに、つい3ヶ月前には4WDで駆け回ってた、遮る物ひとつない広大なアルゼンチンの大草原がフラッシュバックしてきて、
なんで3ヶ月前は大草原の小さな家を地で行ってた自分が今やアウシュビッツやのん、と思ったらとたんにパニック障害を起こして泡吹いて倒れて、就活をやめた。
やめて、これからどうしよう、東京には大草原は無いし、もう自分は駄目だ、と思っていたとき、
些細な偶然からカタリバ代表の今村さんを紹介されて、
「カタリバ」の職員に誘われ、どんな仕事かも知らないままに飛び込んだ。
1年間、80校以上の高校に行き、高校生に向かって自分の思いをプレゼンした。
話を聞いて泣いてくれる子、16年間負ってきた心の傷を初めて打ち明けてくれる子もいた。
体育館のそこここで、生徒のそれぞれが他人に今まで見せたことのなかった感情を沸騰させる瞬間を、
毎日毎日見ていた。
カタリバの職員の任期を満了した後は、学生記者、ビジコン、憧れの出版社でのバイト、出版甲子園、とにかく何でも手を出した。多くの人に出会った。
全部、偶然チャンスが転がってきたときに、躊躇せずに「やります!」って自分から飛び込んだことだった。
それが自分にとって何の意味を持つのか分からなくても、
「次」のチャンスがあったら、いいかどうか判断する前に、飛び込んでみる。
自分にとって何がいいボールなのか、わからないうちは見送らず、なんでも打ってみる。
「自分には打つ姿勢がある」ことを明示し続ける。
「打つ姿勢」がある人のところにはどんどんボールが来ます。
自分はなんでもやる、なんでもやるからやらせてくれ、という姿勢さえ持っていれば、
それがいつの間にか、自分の輪郭を作ってくれるし、それを求めて声をかけてくれる人に出会わせてくれる、と思う。
それは縁とか運とか、そういうあやふやなもので、確証なんか全く無いけれど、
次の足場が見当たらずに「どうしよう」と思っても、谷底に落ちかけたタイミングで誰かがひょいっと拾ってくれる。
斉藤孝は「貧乏ノススメ」という本で、
若いころ、超ド貧乏で、仕事を選んでられないからとにかくなんでも引き受けていたら、いつのまにかベストセラー作家になっていた、と書いていました。
それと同じで、「心の貧乏性」でい続けて、とにかく貪欲になんでもやること。
「それ、自分がやりたいです」と表明するのは怖いし恥ずかしい。
でも表明し続ける。
他者に向かって胸襟を開き、自分のこころのうちをきちんと伝える。自分という人間の輪郭を明示する。
志とか、一本筋とかが無くても、恥じることは無い。むしろそんなものは無くたって、
目の前に転がってきたものを、柔軟に全部吸収して、いろんな世界を見てゆけば、
ひとつの世界にずっといる人には見られないような景色とか、
自分にしかない観点とか、色々なものを吸収してふくらんだ豊かな土壌とかを、自分の中で育ててゆけると思う。
だから、志とか、やりたいことが今は無い、というひとは、
チャンスを拾うことに、貪欲になってほしい。
同時に、自分の心のうちを開き、自分の気持ちを表明するのを恐れないこと。
人や社会と自分をごりごり擦り合わせて、常に発熱し続けること。
それが「次」を作るし、自分の輪郭を育ててくれると思う。
以上が、私が大学生活を経て得た小野美由紀という人間の輪郭です。
今の「自分」が、今後どう変容していくかはわかりませんが、
ひとまず、これらのかたちを私に与えてくれた6年間の生活の「仕舞い」として書きました。
これからもおつきあいのあるみなさん、離れていってしまうけれど、今まで私を形作ってくれたみなさん、
ありがとうございました。
これからもよろしくお願いいたします。


紹介 author-img 著者

小野美由紀(MiUKi_None)作家。1985年東京生まれ。

コメント (5)

  • 返信

    2010年4月1日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    始めまして。川村と申します。
    2008年に早稲田大学教育学部を卒業し、
    その後、紆余曲折あり、現在はベトナムにて「仕事をつくる仕事」をしております。
    (*http://kawamurayasuhiro.blog36.fc2.com/blog-entry-55.html)
    >だから、志とか、やりたいことが今は無い、>というひとは、
    >チャンスを拾うことに、貪欲になってほし
    >い。
    >同時に、自分の心のうちを開き、自分の気持>ちを表明するのを恐れないこと。
    >人や社会と自分をごりごり擦り合わせて、常>に発熱し続けること。
    この文章に本当に共感したので
    思わずコメントしてしまいました。
    私自身、新卒で入った企業が入社直後に
    つぶれかけ、その後1年でリストラをされました。
    正直、「やばい、どうしよう。。。」と
    凹んでいました。
    正直、確固たるやりたいことや、他人に誇れるスキルなどは全くない状態です。
    そんな中でも、自分が「ありたい姿」を発信し続けた結果、なぜかベトナムで働かせてもらっています。
    ここの人たちの熱量に驚かされながらも、
    一日本人の川村として何がお役に立てるかを
    日々ゴリゴリと模索している最中です。
    1年後に一旦帰国するので、ぜひ一度お話
    させてください。
    素晴らしい記事を有難うございました。
    ベトナムの片隅で応援しております。
    川村

  • 返信

    2010年4月1日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    川村さん
    コメントありがとうございます。
    ベトナムにいらっしゃるのですね。
    ブログ、読ませていただきましたが、面白そうですね。
    「ありたい姿」を発信し続ける、という力こそ、
    私が高校生とか、中学生に持ってもらいたいものです。
    就活や進路選びのときって、大抵は「相手が求める自分になる」ことにばかりフォーカスされてしまって、
    「じゃああなたはどんな輪郭を持っているの?これからどうなりたいの?」を示せる人って少ない。
    私自身、それで就活は失敗しています。
    それを示すことに、躊躇しなくていいんだよ、
    あなたの思っていることを表現していいんだ、ということを、内にこもりがちな若者に発信し続けたいと思います。
    一年後ぜひお会いしましょう!
    PSもしかして内田くん、安斎くんの友達ですか?

  • 返信

    2010年4月1日

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    >小野さん
    早速の返信有難うございます!
    内田君は知り合いです!
    1月29日に一緒にイベントの準備をした
    中です☆ここでも繋がっていたんですね。。。世間は狭い。
    僕の弟も就職活動中なのですが、
    まさに「自分を表現すること」よりも
    相手にいかに合わせるかが重要視されている
    ように思います。
    就職活動そのものが、それを求めているので
    仕方ない部分もあるかもしれません。
    まずは一人ひとりのあり方を変えていく必要があるように思います。
    その意味で、大学時代から、いや高校中学から、まさに自分を表現し、社会との摩擦を経験し続ける中で、自分と社会との一番居心地のよい位置関係を探求していくことは必要だと思っています。
    僕は日本の若者に、そういった機会を海外につくりたいと思っています。
    まだ全くかたちになっていないので、しばらく試行錯誤していきます。
    小野さんのブログはこれからチェックさせて
    いただきます!凹んだときに読ませて頂き、気合を入れなおしたいと思っております!
    それでは今後ともよろしくお願いします!
    川村

  • 返信

    2010年4月1日

    SECRET: 0
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    とても勉強になりました。
    曲げないところは曲げなくても謙虚でいる、ってこういうあり方なんでしょうね。
    そして、小野さんの更にすごいところは、日記で書いた通りにきちんと行動できていることだと思います。
    ちなみに、色々なチャンスが転がってくること、そして、それを次につなげられるのは、小野さん持ち前の魅力による部分もあると思いますよ!
    あなたのような友人がいることは、私の数少ない誇りです◎

  • 返信

    2010年4月5日

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    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    小野さーん!
    お久しぶりです^^
    いくほです。
    うちはやりたいこと自分の楽しい事に正直に生きてい、
    でも軸がないのが弱いなーっておもってたんです。
    もしかしたら、軸があったらそれにもっともっと強くなるかもしれないし、ふかーくなれる。
    でも、もしかしたら今のうちの軸は『自分が楽しい事に正直に生きる』
    かもなっておもったんです。
    私もやってることバラバラでミーハーでって感じだけどきっと1つの事じっくりやってる人がみえる素晴らしい世界とまた違った素敵な世界が見えてくるんじゃないかなって思ってたんです
    そう思ってた矢先にいろんな経験をつんだ小野さんのこの日記を見て、それでいいんだなって思えました^^
    ありがとうございます。
    シュウカツでの人に合わせるじゃなくて、自分を!
    っていうところも
    ははーそうかって思わせてもらいました。
    私は自分の楽しい♪に正直に生きていこうと思います★
    報告としては、
    今年休学して、半年バイトと色んなプロジェクトやって、後半年は世界の友達をまわる世界一周をしようと思います
    また、ゆっくりお話したいです。
    これからもよろしくお願いします^^

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