酩酊せよ、とSAKELIFEは言った〜女子のための日本酒生活の手びき


私が初めて日本酒に出会ったのは、24歳の時の恋人と、付き合って初めてのデートだった。

「日本酒の美味いそば屋があるんだ」と、1歳年下の彼が切り出したのは、天から降って来た寒さがきんきんと地面に突き刺さるような、12月の暮れだった。
若干23歳の、大学を出たばかりのお金のない男の子が、日本酒のうまい店に行こうだなんて。絶対、誰かの受け売りに決まっている。

彼は、つい最近、5歳年上の彼女と別れたばかりだった。その元彼女が、美人であることも、日本酒関係の仕事をしていたことも、ソーシャルネットワーク・ストーキングによって事前にしっかり把握していた私は、彼が薦めてくれた店が、その女が残した恋愛における文化遺産である事を瞬時に察知し、嫉妬で硬くなった。

彼に連れられて入った新富町のその店は、きりりと知的に、白と黒を基調としてセンスよくまとめられており、子供が来てはいけない「しかるべき大人のための店」であることを扉の外にまで伝えていた。私はきっと、彼にこの店を教えたその年上の女も、この店と同じくらいにセンスがよく、知的な女性なのだろうと想像し、カウンターにつく彼の背後で、こっそりと唇をかんだ。

彼が何のためらいもなく「日本酒、何飲む?」と聞く。

知らん。我が人生において、これまでに名を知る酒はカルアミルクかカンパリソーダだけだ。それも、決して合コンで可愛こぶるためではない。ビールが苦手で酒にめっぽう弱いため、なんとかごまかしごまかし、JPOPの歌詞やらなんやらで聞いた事のあるものを、頼んでいるだけだ。

が、この店にはそんな無粋なものはない。ワインリストもない。 グラスワインというのは酒の名前を知らない無知な者のために用意されている、ということを、私はこの時初めて知った。

彼が薦めて来たのは「伯楽星」である。セイテンタイセイだかアベノセイメイだかなんでもいいけど(メガテン脳)、とにかく酔わなくて、苦くないものを飲みたい。もちろん梅酒だとか、ソフトドリンクだとかでごまかしても良いけれど、ここで日本酒を避ければ、5歳年上のその女に負けてしまう。そんな勝手な対抗心から、私はその杯を引き受けた。

一口、飲む。

私の世界に、透明で、とろけて、内臓のすべてを配置換えしてしまうような、甘美な悦びが舞い降りた。

その瞬間、私は前の彼女に、感謝していた。

ありがとうありがとう、こんな素晴らしい飲み物を、彼に仕込んでくれてありがとう

……元カノからの引き継ぎが上手くいった、希有な例である。

飲めない女子こそ日本酒を吞め

日本酒の良さというのは、まず、その名の思い切りの良さである。

ワインでは、こうはいかない。まず、名前が長い。仏文科出身のくせに、ブルゴーニュとディジョンの位置すらも何度聞いても覚えられない私には、ワインの長ったらしい名前は、それを趣味として楽しむに至るまでの、高すぎる難関である。

美味しい君の名前はなんていうの。聞いてもその高貴なる名前は、酩酊する頃には記憶の彼方である。

やるかたない。まるでシンデレラだ。12時を過ぎれば、酒気と共にどこかへ消えてしまう。アルコールなので、靴を残してくれるわけでもない。せっかく出会えた美味しいお酒なのに、次にその店に行く頃には、もう、その名はきれいさっぱりと忘れ去られている。

そこへ来て、日本酒は簡単でよい。

だいたい、名前が短い。小学3年生でも書ける漢字で構成されていたりする。

うんたら山だの、田なんとか、だの、ぜったいに覚えて帰れる気軽さ。

なにかを考えて飲むにも最適だが、なにも考えずに飲んでも最高である。

また「日本酒が好きです」というと、勝手に男性の中でイメージの底上げをしてくれるのもありがたい。

「ワイン好き」というと、まず、年下の男に敬遠される。

また、ビールを飲んで色っぽいのは檀れいぐらいだ。

その点日本酒は、なんとなくそのしっとりしたイメージから、落ち着いた大人の女だと、相手が勝手に認定してくれる。

以前「日本酒を飲む女性はやっぱり肌が綺麗な人が多いんですねぇ」と、とある男性にリップサービスで言われたが、んな訳ない。日本酒好きと言ったって毎日飲む訳ではない。

ともかく、日本酒好きというと、男子の中に眠る大和民族のDNAに火がつくのか、なんとなく高待遇してくれる(ような気がする)。

 

あと、ちびちび飲むものだというのも高ポイント。

私はめっぽう酒に弱いので、人と同じペースでビールをぐびぐび飲むと、すぐ、酔っぱらってしまう。

でも、舐めるように、日本酒を飲むと、度数は高いにも関わらず、心無しか、気持ちよくスローペースで酔えるような気がするのだ。

日本酒だと、ガバガバ飲んでいるほうが無粋な感じがするから、あんまり「飲め、飲め」って言われないのも大変に好都合。

あくまでも、日本酒びいきの偏見だけどもね。

 

……というわけで、あまり飲めない私にとって、日本酒は、楽しくコスパよく、カッコつけずにカッコがつき、ちょうど良い具合でほろ酔いできる、最高のパートナーなのだ。

 

SAKELIFEさんから酒が届いた

そんな訳で、いつのまにか日本酒ハンターとなった私だが、日本酒日本酒と騒ぎまくっていたら、今人気の日本酒定期宅配サービス 「SAKELIFE」さんに、ありがたいことにブログモニターにしていただいた。

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SAKELIFE。

直訳すると「酒生活」である。

要するに、日常の中で日本の古来からの伝統文化である日本酒を楽しみましょう、という、我々日本酒好きの生活を豊かに、潤してくれるサービスである。

毎月月末になると、老舗酒屋の25代目の髙橋正典さんが、その季節に合ったおすすめの一本を厳選し、そのお酒の背景を解説した、丁寧なメルマガ付きで送ってくれる。 それも、誰もが知っている有名銘柄ではなくて、隠れた銘酒を。

ほろ酔いコースは3000円で四号瓶、ぐい飲みコースは、5000円で一升瓶の日本酒が、毎月、送られてくる。

で、初月。

20140422-110850.jpg   (モデルは別の方でお送りしております)

3月末の、花見の季節に送られてきたのは、 「志太泉-吟醸」 というお酒だった。

作り手である静岡の蔵「志太泉酒造」は、一昨年、100回目の記念となる平成23酒造年度全国新酒鑑評会にて金賞を受賞したそうだ。

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うん。この思い切りのよいネーミングが、日本酒の良さだね。

さっそく、入居しているシェアオフィスの花見(雨のため屋内)で、いただきます!

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すっきりとしていて、飲みやすく、爽やか!かすかな辛みがきりっとして心地よい。

辛すぎるのも、苦すぎるのも苦手な私にはちょうど良いかも。 あっさりしているので、どんなおつまみにも合う。

ちょっと白ワインっぽいので、魚介類なんかいいんじゃないかなぁと思った。

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器スキー垂涎!隔月で酒器がついてくる

さらに「SAKELIFE」では、隔月で可愛い酒器までついてくる。各地を旅するごとに杯を買い集めている私にはたまらない。

器スキーにとっても垂涎のサービスである……!

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最初の月にもらえる、蛇の目のお猪口。

この底に青い2重丸の描かれた、ころんとした可愛らしい杯は、どこかで見た事があるな…と思ったら、 SAKELIFE広報の山口さんいわく、日本酒の「テイスティンググラス」の役割を果たしてきた、伝統的なお猪口だそう。

日本酒は、色の濃淡で、口当たりなど、ある程度判別できるようになっているのだが、 青と白の境目で日本酒の色を正確に判断出来るように、あの模様になっているそうだ。

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日本酒のとろんとした色味に青がゆらいで、とても綺麗。

また、今回は蛇の目のお猪口と一緒に、特別に9ヶ月目の細長い白い杯もいただいた。

こちらの酒器は、カネコ小兵製陶所が製造している、4種の一献盃のうちの一種類、ストレート型。

白くて透明感のある、美しい杯だ。 私は酒の味を邪魔しない、こういうのが好き。

「口径が小さいので、細長く直線的にお酒が口の中に入ってきます」とのこと。

丸い杯と、細長い杯を飲み比べてみると、確かに、味わいが全く違う。

細長い杯は、確かに、説明のとおり、スーッと口の奥に酒が流れ込んで来て、すばやく喉の奥に去ってゆく。

とにかく軽快。 もったり、ヌメヌメした喉に絡まる酒が嫌いな私は、こういうストレートな酒器のほうが良いみたい。

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「志太泉」、大人気で、マグカップでがぶ飲みする人もいたもんだから、あっという間に無くなってしまった。

今回初めてSAKELIFEを試してみたが、こういう、普段なら飲むことのない、酒屋さんでも見過ごしてしまいそうな隠れた名酒を知る機会ってなかなか無いから、日本酒好きにはとっても良いんじゃないかなぁ、と思う。

味を知っていて、どこにでもあるぶん、獺祭とか、すず音とか、とかく有名どころに走りがちなんだけど、こうして新しい蔵に出会えるのってとても貴重。

しかも、酒器の由来も知った上で飲み比べてみると、輪をかけて美味しい気がする。

定期宅配って何が来るか分からないから、委ねる部分が大きいんだけど、こんなに「委ね甲斐」のある商品も、なかなか無いんじゃないか、と。

来月も、届くのを楽しみに待とう。

(というわけで、次回に続く!)


投稿者:

miyuki.ono1228

小野美由紀(MiUKi_None)作家。1985年東京生まれ。

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