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最近思うのは、「そろそろ“モテ”とか言ってる女子は、オワコンなんじゃないか?」ということである。

 

モテをめぐるメディア界に異変が起きている。

 

長い間、モテない女たちの不安を必死に煽っては消費へと駆り立てていたananですら、最近、カルチャー誌っぽい路線にリニューアルしたし、

「○○でモテるための3つの方法」など、しょうもないモテテクニックを二足三文ライターに書かせて垂れ流してきたウェブメディアですら、記事の結びでライター自ら「こういうモテマニュアルみたいなのを鵜呑みにしてたからって、決してモテるわけではありませんが…」と、自己言及しはじめる始末(お前がいうなよって感じだけど)。

極めつけは「恋より楽しいことがある」というキャッチコピーをひっさげて登場した、女性カルチャー誌「RoLa」だ。ディープな趣味に焦点を絞り込み、「モテ」や「綺麗になること」「男に愛される事」をきれいさっぱりと脱ぎ捨てた潔さが光る。

 

カンのいい女たちは「モテ」に飽き始めている。

というよりも、もう、モテてもあんまりいいことないんじゃないか、

自分を抑えて、男ウケを目指しても、あんまりいいことないんじゃないか、とうすうす感づきはじめている。

 

とはいえ私もかつてはモテに必死だった。

大学に入学したての頃の私は、どうにかしてモテたくて、でも圧倒的にモテなくてモテなくてモテなくて、ヤバいくらいにモテなかった。

 

必死に声をワントーン高くする練習とかしてたし、マルイで好きでもないピンクのニットを買い、似合いもしない茶髪のゆるふわパーマを無理してかけてた。でも剛毛な上にホリが深いので、似たのはえびちゃんではなくジ・アルフィーのたかみーだった。蝶蝶さん系の恋愛マニュアルを読みまくり、「さりげないボディタッチ」を繰り出そうとして全くさりげなくない気持ち悪い感じになってた。

どんだけ容姿を磨いても、なんで自分はモテないんだろう。どうやったら他人に好かれるんだろう、そればっかり考えてた。

で、あまりにもモテないもんだから、勉強してこよう!と思い、飛び込んだのが銀座の高級クラブ。

銀座のお姉さんたちは「モテ」が仕事。モテマニュアルを書くような、キレイな銀座のホステスさんたちから、なんとか男心を掴むコツを盗んで、この非モテ地獄から抜け出そう…と画策したのである。

 

けれど、私がバイトを始めた銀座で45年の老舗のクラブは、「モテの殿堂」というよりもどちらかというと

「モンスターズユニバーシティ」だった。

 

客の話をさえぎり、自分が空中浮遊した話を延々とし続けるママ。

IKKOを70kgまで太らせたようなお姉さん。

VIPルームでは、全身白いファーに、青いアイシャドウを塗りたくったファービー×マツコデラックスみたいな女性が、大企業の社長をはべらせながらも全ラメのケータイをいじくっている。

 

モンスターばっかりやんけ!!!!!つーか、モテはどこに…?

 

しかし実際、綺麗なホステスさんよりもぶっとい客をくわえこんでいるのは、こういうピクサー系のお姉さんたちだったし、同伴でママに行ってきなさいと送り出された、看板のない寿司屋の奥座敷で、某銀行の元重役のとなりに座っていた愛人の女性は、そのへんのスーパーにいそうな、サザエさんみたいな服を着たおばさんだった。

 

「ああ、この人たちは、”モテ”とかじゃなく”自分”を仕事にしているんだな」と思った。

自分という魔力で、男を惹き付けてるんだろうな、と。

 

男ウケする容姿や服装を追求するより、好きなスタイルを追求したほうが、結局モテるのでは…?
そう、うすうす感じつつも、私はその後も必死でモテの鋳型に自分をハメつづけ、フラれてフラれてフラれ続けた。

 

が、卒業後。

ひょんなことから生きる気力自体が萎え、シェアハウスでニート兼引きこもりになり、他人の目を気にすることすらもめんどうくさくなって、風呂にも入らず死にそうなアライグマみたいな風貌で人前に出るようになった途端。

なんか、びっくりするほどモテるようになったのである。

特に、経営者とか、自分でなんかやってるような人たちに。

 

彼らには2種類いて、一つは金を稼ぐ事で、コンプレックスを克服したい与沢翼系。もう一つは、こだわりが強くて、自分の好きなことを追い求めていたら社長業に行き着いてしまった、でも女の子は口説けない精神的童貞系。

後者のタイプは、CamCan系の外見に気を使い、グラスが空くやいなやスナイパーのごとく瞬時に酒を注ぎ込む女子とは話せなくても、アライグマみたいな相手とは「ボクでも話せる相手がいる!」と目をうるうるさせる。

こうして、外見に気を使わず、相手にも気を使わないようになればなるほど、私はモテていった。

「死にそうなアライグマでも、男に愛されたり、好かれたりするんだ!!!!」

いったい今まで自分がピンクのニットとゆるふわパーマ代につぎ込んできたお金はなんだったのか。マルイに落とせる金があるなら、「少女革命ウテナ」のDVD-BOX(上下)を買っておけばよかった。

 

…こうして、念願だったモテを実現したものの。

でも、モテるようになったからといって、幸せになれるか、っていうと、はっきり言って、そうじゃないんだなー。

 

モテても手に入るのは、男の数だけであって、自分からわき上がる愛ではない。

電池が切れていればモーターは回らないように、自分で自分を満たせなければ、他人からの好意をいくら注ぎ込んだって、何も生まれない。

どんだけステータスの高い相手に好かれたって、ちんこをまんこに導いたって、自分自身の欠乏は、埋まるもんじゃない。

 

結局、自分の心を本当に満たすのはやっぱり、仕事だ。

モテる喜びはいつか消えてしまうけれど、仕事の達成感は、人と共有できるカタチでいつまでも残り続ける。

これまで「異性には事欠かないけれど、なんだか幸せそうじゃない」女子が、打ち込める仕事に出会ったとたん、憑き物が落ちたように幸せになっていくのを間近で見てきたし、私も「これは自分の仕事だ」と思える仕事が見つかってからは、最後にちょっとだけ残ってた、モテたい願望はさっぱり消えた。

 

もうね、はっきり言って、モテを目指さないほうが、結果としてモテるから!!男子も女子も!!!

二村ヒトシさんが「モテたくて仕方がない男子はキモいからモテない」と書いていたけど、モテたい女子にも、それは当てはまる。

モテを目指す女子or男子からは「私、人に好かれたいんです」ってオーラがぷんぷんに出てる。

「愛されたいの!」と顔に書いてある人を、愛したいと思う人なんか、果たしているだろうか?

 

この記事(「他人から求められたい」)にも書いたけど、求められることを求めると、誰にも求められない。

「人に好かれる」ことを求めてると、けっきょく「人に好かれたい人の類型」みたいな、輪郭のはっきりしないマシュマロのお化けができあがるだけで、あなたの姿はどこにもなくなってしまう。

それで人に好かれて、結局、嬉しいんだろうか?

 

もう、世の女子たちは、モテマニュアルや女性誌を鵜呑みにして、

「スゴーイ」とか「そうなんだー」とか言ってる場合じゃないよ。

 

あんなの、嘘だから!!!!!!

 

本当のところ、ほんとに「スゴーイ」男は、女の子に「スゴーイ」って言われてもあんまり喜ばないから。

「スゴーイ」て言われて喜ぶ男は、すごくない男だけだから。(もしくは、社会的には一定の評価を得ていても、自尊心が満たされてない幼稚な男だけ)

 

「そうなんだー」とかオウムみたいに言ってても、頭の良い男には「こいつ、頭悪いんか」と思われるだけだからね。

聞き上手になりましょうとか言ってる場合じゃない。

男の話黙って聞いてあげて、好かれるとか、それ、お金もらってない風俗嬢と一緒だから。

 

まあ、結婚したいのなら、それでもいいのかもね。

(でも、今年取材で出会った、豊洲のタワマンに住むセレブ奥様は「女の幸せは男に選ばれる事」と口で言いつつ、全く自分の人生に納得してなかったよ。彼女たちが渇望してるのは「仕事」。社会に求められる、自分だけの武器がないのが苦しい、と彼女は語っていた。モテ界の大貧民で、大富豪アガりをキメたような彼女たちでも、最終的に求めるものは「自分自身の納得」なんだよねぇ。)

 

もうね、いいかげん、モテとかいうの、やめればいいじゃん!!

また、モテを放棄したことを、世間に申し訳なさそうに「こじらせ」とか言って言い訳する必要もないのでは?

 

モテないことや、自分がモテ系じゃない事に悩んでいる女子は、モテないことこそ、喜んだらいいと思う。

自分には類型化されない魅力があるんだからさぁぁ。

 

モテとか言ってる女子の方がはっきり言ってこの先ヤバいし、そんなことで自意識をこじらせてる場合だったら、まず、誰にも左右されない自分だけの基準を作ったら?

 

もちろん、異性を意識するのは、すごく良い事ではあると思う。何歳になっても、男女問わず、おしゃれで色気のある人は素敵だし。

ただ、世間が提案するガイドラインに従って、行動するのはもうあんまそれ、メリットないんじゃない、って事。

もうね、モテるかどうかで勝ち負けの決まる時代じゃないし、

2014年以降は、「モテ」とか言ってる男女は非モテよりもむしろ痛々しい目で見られるようになると思うよ。

 

 

…あ、本にはこーゆーこと、書けばいいのか。

納得。

 


紹介 author-img 著者

小野美由紀(MiUKi_None)作家。1985年東京生まれ。

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